常闇に憑かれた魔法使いたちや、彼らに操られる幻獣や精霊、常闇の眷族やその手先たちなど、魔法学園の生徒たちの前に立ち塞がるさまざまな存在を総合して“エネミー”と呼びます。

 異界との境界が薄くなった現在では、平凡な街においても、さまざまな異界からの来訪者を目にすることは珍しくありません。
 いっぽう、1999年以来、この地球界に姿を現わした“常闇”は、いまも都会の影や、人の心の闇にひっそりと棲み、より深い暗黒に取り憑いて、強大な存在になることを虎視眈々と狙っています。

 このコーナーでは、イラストとともに『駅前魔法学園!!』に登場する、さまざまなエネミーを紹介しましょう。

イラスト=吉井徹


 





種別:憑き物(レガートス)
エネミーランク:1

 悲しみや不安といった負の感情に“常闇”が取り憑き、モヤモヤした黒い闇や霧の形で実体化したエネミー。
“常闇”が巣くう精神空間「マキア」内に数多く出現する。より上級の“常闇”憑きの配下となっていることもあるし、あるいは、集まったナゲキヤミのなかから、より上位の“常闇”憑きが生まれるのかも知れない。
 ナゲキヤミは、いわゆる「最弱モンスター」に分類されるものだが、油断してはならない。モヤモヤした身体ゆえに、物理攻撃が効きにくいという特徴を持つ。一体一体は弱いかもしれないが、数で押されるとなかなか厄介だ。
 そしてナゲキヤミは、ほおっておいたら、より深い闇を抱えた、強大な“常闇”憑きへといずれ変異してしまうだろう。そういった意味でも簡単に見過ごせない存在だ。
 負の感情は、誰もが心のなかに持っているものだ。どんな小さな街……いや、感情を持つものが存在する場所ならどこでも、ナゲキヤミの姿は消えることはない。


 





種別:幻獣(ミーレス)
エネミーランク:2

 猫の手一本に小さな猫の頭がくっついたような、不思議な姿を持つ幻獣。世界と世界の境目に現われるという謎の多い存在。
 歩いたあとに、ちょうど猫の足跡と似たあとを残していく。
 街のなかで、垂直に切り立った壁面や天井、あるいは何もないはずの場所へと続く、奇妙な「猫の足跡」を発見したら、それはネコノテが残した、異界へ続く道しるべかもしれない……。
 ユーモラスな外見とは裏腹に、戦闘となればミーレスとして群をなして襲ってくる、なかなかあなどれない相手だ。
 その身体で猫パンチ(キック?)されると、魔法のように突き飛ばされ、夢ごこち気分で放心状態にされてしまう。
 常闇に取り憑かれ、その配下になっていることもあるが、野生のネコノテもイタズラ好きでなかなか凶暴であるから注意すること。
 なんの偶然か、地球界の猫と性格や嗜好が似ており、マタタビやサカナ、ネコジャラシなどを好むという。


 





種別:憑き物
エネミーランク:2

 怒りや、攻撃衝動といった負の感情に“常闇”が取り憑き、異形の獣のような姿で実体化したエネミー。
 ナゲキヤミに対して、より攻撃的な負の感情から生まれるものであり、高速で動き、牙のような部位で攻撃をする。その攻撃パターンは単純であり、怒りにまかせて、突撃を繰りかえす。
 これも“常闇”が巣くう精神空間「マキア」内に、突撃する尖兵としてしばしば出現する。ランクが低いエネミーだが、数が多いときは、あなどってはならないだろう。
 ゲキジュウを産んだ感情は、激しい怒りや憎悪が元になっていることが多いだろう。あるいは人間以外の、単純だが強い原初の精神に取り憑いて生まれることも少なくないと言われている。……動物や、攻撃的な想念がこもった武器などだ。
 ゲキジュウが尖兵として出現するとき、その奧からは――その母体やあるいは成長した姿である――さらに激しく攻撃的な存在があらわれるかもしれない。


 





種別:幻獣
エネミーランク:4

 1999年以降、地球上の都市でも異界生物が見られるようになった。そうしたなかには、伝説の怪物・幻獣が、ミニチュアサイズになったような存在がある。
 それらは幾つかの学名や正式名称があるが、一般にはミニチュアモンスター、略して「ミニモン」と通称されている。
 ミニモンとは何なのかは諸説ある。曰く、本来の世界から「魔力の少ない地球界」にやってきたため身体も能力の縮小した。曰く、現代都市で生存するために環境適応した……等々。あるいは、もともと小さな異界生物に過ぎなかったものが「地球の伝説で誇張された」のだという説もある。
 このコカトリスも、そういったミニモンの一種だ。地球の伝説で知られるコカトリスと同じく、ニワトリとヘビの両方の特徴を持つ。
ただし伝説のように生物を「石化」させる能力はなく、その視線やブレスは、相手をしびれさせるのが、せいぜいだ。
 多くの都市伝説と同じく、ファーストフードショップがフライドチキン用に養殖しているという(根拠の乏しい)ウワサが絶えない。いっぽう、一部の好事家の食用になることが多く(舌がしびれる珍味らしい)、時折食中毒事件がニュースを賑わせる。


 





種別:幻獣
エネミーランク:5

 自動販売機や魔術書、金庫など、目を引くものに擬態して近寄る者を襲う魔法的生物。
 多くのミミックは、ムチのような長い舌状の器官を持ち、不要に近づいた者を攻撃し、小動物を(大型の場合人間さえも!)捕食する。
 ファンタジーRPGなどで知られる魔法生物だったが、異世界に実在していたことが1999年以降知られることになった。
 現代都市に適応したミミックたちは、街にある様々なモノに、驚くほどそっくりに化けてしまう。細部や手触りまで再現とはいかなくても、人間やノラ動物などをおびき寄せるには十分だ。チョウチンアンコウのように発光能力を得たミミックは、夜の自動販売機や電話ボックスに擬態する場合もあるから、注意が必要だ。
 地球の都市の情報量は、ミミックたちにも刺激を与えたようだ。より多様で精密な擬態能力を身につけた新種が日々報告されている。移動能力を身につけ深夜タクシーに擬態するミミック、テレビに擬態して独自の番組まで見せるミミックなどなど……。
 ミミックのなかには、単に攻撃するだけでなく、悪戯をして人間をおどかす性質のものもいる。あるいは稀に人間を理解しようと接触、交流しようとしているものもいるという。――寂しがっている人間のため擬態をしたミミックの逸話なども、真偽のわからぬまま噂されている。


 





種別:幻獣
エネミーランク:3

 地球の神話伝承に語られ、幻想文学やファンタジーRPGでもおなじみの樹木の精霊。
 1999年以降、こうした「幻想世界の住人」たちは、どこの街でも見られるようになった。かの者たちは異世界から訪れたとも「元々存在していたのが、魔法の力の発現で誰にでも見えるようになった」とも言われている。実際のところ両方があって数も増えたのだろう。
 現代都市に住むドライアドは、街路樹や公園の木々を朋友であり住まいとするようになった。今では日常的な風景として、草木のそばに寄りそうドライアドを見ることができる。
 緑色の髪を持ち、魔法で編んだ生きた草葉による服を身につけている。……というのが本来の姿だが、都市生活の影響を受け、人間のように髪を染め、人間風の服を着るドライアドも珍しくない。クリスマスツリーのように飾りや電飾を巻きつけたり、身体にポスターを貼ってる(「樹木のファッション」と思っているらしい)者もいる。
 断わりもなく樹を切ろうとしたり、草木に悪さをする人間にはドライアドたちは容赦しない。反対に植物を大切にする人間にはドライアドは魔法で助力してくれる。……「部屋や用地に草花をいっぱい咲かせる」など、善意による奇行をされることも多々あるのだが。
 ともあれ1999年以降、街の草花に悪さをする人間はめっきり減った。
 もちろん、人災や山林開発によって樹木が傷つき伐採される事象は現在も止むことはなく、ドライアドと人間のトラブルは後を絶たない。そういった折衝役として魔法使いたちは活躍しているのだが……結果として禍根を残すことも多くある。
 樹木を害されたことで人間を恨んだドライアドの多くは“常闇”に取り憑かれてしまうことになる。
 敵となったドライアドは、本来持つ回復能力と樹木を操る力で、他の常闇と連携し、侮れない相手となるだろう。


 





種別:憑き物
エネミーランク:5

 傲慢さや、自己顕示欲といった負の感情に“常闇”が取り憑き、鏡のような姿で実体化したエネミー。
 現実の鏡が変じて生まれることもある。もとより「鏡」は、人間の自己顕示欲や傲慢さの元になりやすい。……童話の白雪姫が語るように。
 心に隙間を持つ人間が、手鏡や鏡台を眺め続けることによって“常闇”に取り憑かれてしまうことがある。
 あるいは学校や公衆施設にある鏡が、不特定の人間たちの負の感情の集積場となり、クロカガミに変じることもある。
 怪しげな古道具屋で見つけた鏡や、夜の学校や病院にある鏡がクロカガミであるかもしれない。覗き見るときは十分注意することだ……。
 見たり触れたりすると、人間を吸い込んでしまうクロカガミも報告されている。鏡の向こうは異世界や、より上位の“常闇”の精神空間マキアに繋がっていることだろう。
 戦いの場でクロカガミが得意とするのは、まさに鏡らしい攻撃だ。その姿や精神を歪めて映した光を相手に浴びせてダメージを与える。魔法使いが放った魔力を跳ね返すという特殊能力も持つから注意が必要だ。
 魔法使いにとっても、クロカガミは自分自身の闇を映す鏡であるのかもしれない。


 





種別:憑き物(レガートス)
エネミーランク:7

 より多くの悪感情を吸収した強大な常闇憑き。顔のない道化師のような姿とトリッキーな力を持つ。
 毒々しい色柄の道化師の衣裳をまとい、派手な仮面をしていることもあるが、仮面の下には蠢く闇があるだけだ。目鼻のない顔から発せられる嘲笑は、人間の精神を不安と恐怖に陥れ、闇に染めていく。
 負の感情を増大させる攻撃を得意とし、幻影や悪夢で心に直接ダメージを与え、呪いの波動を浴びせかける。相手の攻撃があれば、軽業師のように素早く避け、奇術師のように姿を消す。相手を翻弄し嘲笑するような戦闘スタイルを好むのだ。
 単体でも侮りがたい強力なエネミーだが、より強大な“常闇”の直接配下となることも多い。精神空間マキアにおいては、高い攻撃力とトリッキーな防御によって、強敵となるだろう。
 悪知恵も働くトリックスターは、邪悪な企みをする常闇の使徒のエージェントとなり、街の闇で活動することもある。しかし、あらゆるものを馬鹿にした態度で刹那的な性格は、およそ理性的な行動に向いておらず、制御しきれない使徒もまた多いようだ。
 トリックスターはその攻防スタイルから、道化師に象徴される魔法使いのパーテム「ミスティック」の「影なる存在」とも言われる。
 ミスティックたちにとっては、己の歪んだ影法師であり、自らが陥ってはならない「悪しき愚者」の姿でもある。


 





種別:憑き物(ミーレス)
エネミーランク:3

 嫉妬や劣等感といった負の感情に“常闇”が取り憑き、異形の蟲に似た姿で実体化したエネミー。
 それを生み出した心の持ち主も気づかぬ内に、心の闇の中で、休むことなくその精神を蝕んでいく。やがては数を増やし、畑や森を食い尽くす虫の群れのように、その心は食い荒らされていく。
 蟲と同じように、卵を産んでは次々と増える。元になった“妬み”の感情と同じように、最初はゆっくりと増えていき、しまいには急速に心を埋め尽くすのだ。
 精神をじわじわと蝕む能力は、実体化したとき強酸性の体液で体現する。戦いの時は、それを酸のブレスとして吐き広範囲を攻撃するから、油断してはならない。
 ルールブックに掲載されているネタミムシは一般的に発見される実体パターンだが、他にもかぎ爪状の器官を持つものや、回虫のように長い体を持つものもいる。粘着性を持つ糸を吐いて繭を作ったり、蜘蛛のように相手を捕らえるようなネタミムシも確認されている。
 ある程度育ったネタミムシは、繭や蛹となり、そこからは昆虫のように変態を経た、より高位の、ネタミムシの「成虫」が生まれるともいわれている。
 その多くは羽根を持って飛行し、固い外殻に覆われている。ハチのように毒針を持つもの、カマキリのようにカマを持つもの、錐状の器官で相手の体液を吸うものもいるという。
 ネタミムシが、昆虫のように様々な形態を持ち変態を行うのは、負の感情というものが、あらゆる環境に適応して育っていくことの証左であるという魔法使いもいる。


 





種別:幻獣(ミーレス)
エネミーランク:3

  魚人(うおびと)たちもまた、1999年以降に普通に姿を見ることができるようになった「幻想世界の住人」たちである。
 男性はイラストのように直立した魚、女性は美しい人間の上半身と魚の下半身の姿をしている。その容姿の違いから、男女が別の種族であるとしばしば誤解される。男性魚人は「半魚人」という異称で呼ばれることが多い。女性魚人のほうは「人魚」「マーメイド」「メロウ」「セイレーン」など、地球の伝承伝説にまつわる異称で呼ばれる。
 どちらも人間と同じ知性を持っており、人間の言葉でコミュニケーションする。
 海や河川など、水域に住む水棲種族だが、都市部でも公園の池などで、よく見かけることができる。
 都市で暮らす魚人たちは、廃材や買った品物を道具として使いこなし、人間たちと共存している。人間社会で働く者もおり、水中設備の点検・清掃や、水難救助、漁労などを得意とする。
 性格は温厚で平和的だ。礼儀を持って接するなら、水に落としたものを探してもらうなど、頼み事もできるだろう。
 一方で、水域を汚したり、自分たちに敵対する存在に対しては容赦なく戦う。
 森林破壊する人間と敵対するドライアドたちと同じように、水域汚染をする人間と魚人の対立は避けられず、しばしば悲劇が起こる。魔法学園が折衝に務めても、それを消し去ることができない点も同じだ。
 また女性の魚人を襲い、誘拐する不埒な人間も少なからず存在する。その美しさに引かれてしまう人間もいれば、見世物にしようとする者もいる。あるいは伝説を信じて、不死となる肉や真珠の涙を得ようとする愚かな人間も後を絶たない。
 そして、同朋をさらったり、害をなす人間とも、魚人たちは命がけで戦うことになる。
 そのような理由から、人間を恨み、ひいては“常闇”に取り憑かれる魚人も少なくない。
 手製の銛(槍)を使って集団で戦う魚人は、侮りがたい相手となる。特に水中においては強敵となるだろう。
 もうひとつの魚人の武器は、魔法の歌声だ。セイレーン(サイレン)の伝説のように、精神に作用する。これは男女とも使用できるようだ。


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