魔法学園の学生たちが、クライマックスにおいて対峙することになる強大なエネミー――それがBOSSキャラクターです。
 常闇、あるいは常闇によって生み出された恐るべき存在でありますが、その元となったのは、人の心や社会の暗部であることが多く、あるいはささやかな歪みであることも珍しくありません。
 魔法によって解決すべき、この世界の闇や歪みです。
 ここでは、サプリメント『必勝! 魔法講座』に掲載されたBOSSキャラクターのうち、データのみが公開されていた三つのヴァリアントについて、新規描き下ろしイラストとともに改めて詳細に紹介します。

イラスト=吉井徹
テキスト=桂令夫&藤浪智之


 







【体】のBOSSキャラクター
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 からだじゅうから、石のきしむ音をたてて、そいつは歩きだした。
 はじめは人のかたちをした像だったのだ。それが、進んでゆくうちに、姿をかえていった。
 腰から下はひび割れてくずれ、そのなかから、馬のような四つ足の体が出てきた。
 腰から上の関節から、水のような、影のようななにかが、ぽたぽたとたれた。
 かざした右手からは、水のような、影のようななにかが、こりかたまって剣のかたちになった。
 なにを考えているのかは、わからない。なにも考えていないのかもしれない。
 わかるのは、像の進んでいく先に、みんながいること――像が、みんなをふみつぶすだろうことだった。

 ――「黒剣の騎士」は「暴竜」(『必勝! 魔法講座』P84)のヴァリアントである。巨大な騎士。黒い剣を持ち、甲冑に身を包んでいる。
 堅く強靭な【体】を持ち、高速移動し、巨大な黒剣であらゆるものを破壊する。
 像や武器などの人工物に常闇が取り憑いて生まれるが(上述の描写はそれに準じている)、ほかにも人間の攻撃的衝動が顕在化して生まれる場合もある。
 データは異世界の誇り高き戦士としても活用できるだろう。


 







【技】のBOSSキャラクター
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 それは、影のいばらでできた、ハアト型のかごだった。
 かごの中には、影のような女の子。その顔が、さいきん見た誰かに似ている気が、した。
 かごをくみたてている、いばらの一本が、ぴしりっと音をたてて、かごから離れてのびてきた。
 あたったら、ただですまないのは、なんとなくわかった。
 いばらのむちが、すぐそばを、かすめて過ぎたとき。むちが風をきる音にまじって、なにか声のようなものが――ふたとおりの声のようなものが、きこえた気が、した。

 ――「イバラの姫」は「魔女王」(『必勝! 魔法講座』P86)のヴァリアントである。
 眠っている、あるいは嘆いている、美しい姫君。周囲をとりまくイバラは、姫君の意志とは無関係にPCに攻撃を加えてくる。
 近寄る者を寄せ付けず、魔法を跳ね返す、恐ろしい【技】を持つ。
 本心は願っていないのに負の感情を育ててしまった、あるいは、周囲との触れ合いを恐れている人間が、常闇につけ込まれて生まれるといわれる。
 データは「怪物や“迎撃機構を持つ檻”に囚われた姫」にも活用できるだろう。


 






【心】のBOSSキャラクター
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 そいつがなにを言っているのか、わからなかった。
 それよりわからないのは、そいつのどの口が、それを言ったのかだった。
 マントに六つの顔。あたまには、顔のまわりに、もうひとつの顔をかたどった仮面。いや、それとも、顔がわれて、もうひとつの顔がのぞいているのだろうか。
 そいつは、八つの口のどれかで、それを言ったのだった。
「八つ。ちがうね。九つさ」
 まうしろで声がして、まうしろから、刃風がうなった。

 ――「トリックマスター」は「道化の王」(『必勝! 魔法講座』P88)のヴァリアントである。
 これは道化の王ではなく王の道化である。捻くれた笑いの陰に凶悪な【心】を隠している。
 これは、悪感情を吸収した常闇憑き「トリックスター(ルールブックP167)」がさらに育った姿といわれている。妬みや憎しみや恐怖がねじくれて混ざり、自身もどれが本当の心かわからない。
 データは「歪んだ意識体や、不確定の幽体」にも活用できるだろう。


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